3月24日(火)小林道夫先生の講座

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 今日は「音の絵日記」の絵里子さんの尽力で、小林道夫先生の「バロック音楽とともに生きる現代の音楽家たち」第4回に参加することができた。絵里子さんに感謝。
 会場は六本木ヒルズの森ビル17階。今日は第4回の最終回で、バッハの装飾音がテーマ。今日の楽器は、著名なチェンバロ製作者である百瀬昭彦さんが1979年に製作した4オクターブ4度の音域を持つ「ヴァージナル」。百瀬さんも調律のためにいらっしゃっていて、休憩時間に直接お話を伺うこともでき、非常に参考になった。今日の調律は「バッハ・ケルナー」(ヘルベルト・アントン・ケルナーによる)というもので、平均律の12等分に対して、5つの純正5度を持つ調律(?)らしい(短時間だったので、十分には理解できず)。CisとGisが純正5度で、DとAが純正5度から4セント狭いことにびっくり。講座では、調律に関して、平均律クラヴィア曲集の自筆譜に描かれたグルグル模様から調律法を導き出したという「リーマン調律」の話もあり、実際にリーマン調律による演奏も聴いた。
 本題の装飾音はゴルトベルク変奏曲を題材に、自筆譜のファクシミリから詳細を読み取ったり、国ごとの習慣や、あるいはカール・フィリップエマニュエル・バッハの「正しいクラヴィア奏法」がもたらした影響について話が及んだ。
 今日明らかになったことは、原典版として出版されている楽譜も真の原典であるかどうかは分からないということだった。自筆譜に加筆されて、それが原典版として出版されたものもあり、バッハ研究は自筆譜の解析から始めなければ厳格ではないということだろう。
 最終的には研究者がバッハと同じ視点に立てるかどうかということだ。