2月5日(金)

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 快晴であったにもかかわらず、寒い一日。
 昨日はウラノメトリアで猛ダッシュしすぎて、今日はヘトヘトだった。こんなことはずっと昔から分かっているのに、インスピレーションがやってきたときには歯止めが効かなくなる。
 こういう日の空き時間はレッスンの準備などに費やす。
 山崎孝さんが「ピアノを弾く人のための音楽用語ハンドブック」の最初の項目「アッチェレランド」の中で「ショパンの加遅速はテンポルバートの延長だから、左手のリズムを明確にしたい」と書いておられた。この一文の直前まで、きわめて具体的に書き進められているのに、いきなり意味を捉えにくい書き方になっていることが気になった。ここで言う「テンポルバート」は「伴奏はインテンポでメロディーだけが揺れ動く」タイプのアゴーギクを指していると考えられるが「テンポルバートの延長」とはどのような意味だろうか。「テンポルバートとは区別すべき異なるアゴーギク」だから延長という言葉がついたのだろうが、まさか対立する概念(予測不可能な速度変化と予測可能な速度変化という意味において)の「ペリオーデを表現する加減速」ではないだろうから、具体的な説明がないと誤った読み方をしてしまうか、分からずに終わるかになりそうだ。
 というわけで、手持ちのショパンのCDからテンポルバートしている演奏と、ペリオーデを加減速で表現している演奏を選び出してiTunesにまとめてレッスン時に提示しやすくしてみた。
 ウラノメトリアでは「ペリオーデ > テンポルバート」という図式を明確に示しているが、テンポルバートを否定しているわけではない。どのような演奏をするのも演奏者の自由である。しかし、「ペリオーデ表現の加減速(いわゆるドレドレ感)」を知った後ではどちらを選ぶだろうか。
 
 一昨日録画しておいた「地球ドラマチック」のフランス南極シャルコー基地越冬隊の3人の科学者の物語「仏 南極越冬隊 50年目の証言」を視聴。素晴らしい番組だった。「11人の越冬隊 日本南極地域観測第一次越冬隊の記録」同様、人間の英知を感じさせる内容。ほんの小さな失敗が命取りになる世界を生き抜く物語だ。想定よりもずっと厳しい環境のために凍りついて動かなくなった風力発電機。強風で倒壊したアンテナ用鉄塔の再構築。バックアップ用の石油(軽油?)発電機による一酸化炭素中毒の危機。そして何より、たった一部屋の狭い世界での人間関係も重要だ。どんな世界でもパイオニアたちは凄い。現在、アメリカが南極に展開している施設のひとつであるマクマード基地の滞在人員が1000人(冬期は200人程度)にもなることを考えると、隔世の感がある。