8月11日(水)

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 「ホロコーストを生きのびて」などという番組を観てしまったのだから当然とは言え眠る気にはなれず、昨夜は、またまたテレビに吸い寄せられるように「証言記録 兵士たちの戦争 ガダルカナル島 最後の部隊 繰り返された失敗 〜名古屋・歩兵第228連隊〜」を観てしまった。世の中はなんと不条理なのだろうか。
 子どもの頃、野生動物のドキュメンタリーで食物連鎖による弱肉強食の映像(ライオンなどの肉食獣がガゼルやインパラを捉えて食べるシーン)を観て、怖くて可哀相で仕方がなかった。しかし、今は自然界の仕組みとして理解できるようになった。しかし命令一下、殺し合い、あるいは一方的な殺戮を行う戦争行為は理解を超える。たったいま、NHKラジオでは巡洋艦「利根」の元乗組員が命令で捕虜を殺した体験を話していた。

「命令だと従わなければならない」

 戦争の狂気の本質は、そこにあるのだろう。「命令」とは何だ?
 自らの疑問に答えるためにのみ学び、自らの良心に従うことが許される世界を築く以外、戦争はなくならない。
 
 というわけで、昨夜眠ったのは明るくなってからだった。ところが、こういう日に限って、早朝(午前6時)にセコムの侵入警報がけたたましく鳴り響いたりする。父が、うっかり在宅警備を解除せずに新聞を取りに外へ出たのだった。
 厳しい一日を予感させる朝の始まりだった。

 今日午前中は、午後から田舎へ帰省するためにイレギュラーなレッスンとなった茜ちゃん(中1)と、お姉さんで北海道から戻った美咲ちゃん(大1)がやってきた。美咲ちゃんは北大でピアノのサークルに入って、ピアノ練習の場を確保したということだった。
 午後は上海に帰る前に、もう一度絵里子さんがレッスンに来てくださった。彼女の新作をいつも一番最初に聴けて、おまけに、その曲に意見できるなんて信じられないようなポジションにいる、といつも思う。彼女の曲に問題など何もないのだ。あるとすれば、絵里子さんがもっと凄くなれば、曲ももっと凄くなるという当たり前のことだけ。今日は「DEAC」ソナタの新しい第2楽章。もう完成しているのに「完成は急がないほうがよい」みたいな妙な助言をしたりした。もちろん、彼女自身がもっと伸びると感じたからのこと。
 私のフルートソナタは何回か完成している。特に第2楽章は完全な形で3回も完成した。その時その時のベストな形で仕上がるのだが、私自身の進歩の途上だったために書き直しを繰り返して、ようやく「これ以上は伸びしろがない」というところまでたどりついた。その間、7年。絵里子さんにもそのような体験をして欲しいと思ったのだが、果たしてどうなるか。

 夜は、実家に立ち寄っているカミさんを迎えにクルマを走らせたのだが、寝不足の影響もあるのか、目がしぱしぱするドライアイの症状が出て困った。すぐにドラッグストアの駐車場にクルマを停めて「ドライエイド」という点眼薬(なぜかこれだけが高い)を買って事なきを得た。

 そして帰宅後に楽譜の修正をしていたら、また遅くなってしまった。もう寝る。