3月25日(金)

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 大震災以来、主に平時備蓄した食料で暮らしていたので、久しぶりに近所のショッピングセンターへ。
 あちらこちらで黄色いチョークの粉のようなものを見かけた。ニュースでは正体は花粉と言っていたけれど、無機質のような印象もある。花粉の可能性が高いのだろうが、そうだとしたら今年の花粉は大変な量だ。
 スーパーの店内の様子など、知らないのは私だけだろうから詳しく書かないが、全体的に値上がりしているように感じた。節電のために照明は間引きされて、長居したくない気分。バナナはかなり高くなっている。ミネラルウォーターは高級ブランドらしい1本300円くらいのものが売れ残っていた。納豆は全くないが、野菜と肉は普通に買える。

 気になったのは、悠々とした印象で大量に買い物をしていく人と、ほんの少しのものを買って帰る人の表情の差だった。計画停電を理由とする派遣切りもあると聞く。手持ちの資金が乏しい人は少なくないことだろう。未来の見通しがきかない現在、経済的に追いつめられると心が折れる人も出てくるかも知れない。
 なんでもかんでも政府のせいにする気はないが、ついついその無策ぶりが情けなく思えてしまう。
 我が家も家計は火の車だけれど、とりあえず健康で、子どもたちもみな成人したからなんとかなる(と思っている)。

 原発事故以後、我々はサバイバルの状況に置かれていると言って良いだろう。サバイバルの本質は、身の回りにあるものだけで問題を解決してしまう技術のことだ。
 まずは放射性のあるヨウ素131やセシウムなどが問題になっている水からやっつける。ペットボトル詰めされたミネラルウォーターで生活を続けるのは無理だろう。そこで、自然エネルギーを利用した蒸留水の作り方。

 まずは、ガスや電気を利用して作る簡単な方法をご覧頂きたい。

水の放射能汚染対策。蒸留水の作り方
 
 この方法はそれほど効率が良くないものの、簡単で手軽な点が評価できる。ひと手間かけて、復水する時に水をかけて冷却すれば蒸留水は増えることだろう。
 これと組み合わせるのが太陽熱調理器。製品化されているパラボラ型のものは高価なので、ホームセンターなどで売られている0.3mm厚くらいの長方形の大きめのアルミ板を湾曲させて自作する。子どものころに「学研の科学」の付録についてきた小さな集光器でガラスの試験管の水を沸騰させたことがあった。虫メガネが紙を焦がした経験は誰にでもあると思うが、太陽エネルギーはかなり強力だ。しかし、ある程度の面積がないと沸騰には時間がかかる。雨や、暗いくもりの日にはガスや電気に頼ることになるだろう。

 蒸留水と純水は似て非なるものである。蒸留前の原水にアルコールが含まれていれば、アルコールの方が沸点が低いので、よりアルコール濃度の高まった蒸留水ができあがる。それに対して純水は水だけだ。
 だから、取り除きたい物質は水よりも沸点が高い必要がある。
 セシウムの沸点は641度、ヨウ素は141度、ヨウ化セシウムは1277度なので、それらの除去に蒸留法を用いるのは間違ってはいない。
 
 休日、何も予定がなければ楽しく実用的な日曜工作になるのではないだろうか。乳児のミルク用の水が心配な母親たちからは注文が来るかも知れない。

 オネゲルの「私は音楽家である」を一部再読。実に面白い。しかし、オネゲルのようなペシミスト悲観主義者)にはならないようにしようと思った。どんな状況にあっても「今日よりも明日の方がよい」と信じていたいからだ。