7月13日(水)

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 「ロシアの富豪が久保田一竹(くぼた・いっちく)美術館の辻が花をまとめて買い上げたっていう記事が出てるわよ」と新聞を読んでいたカミさんが言うので、それは連作の「光響」のことだと思った。買い取り価格が2億7000万円というから安くなったものだ。
 私は1991年から97年までの6年間、久保田一竹氏の工房の染色部にいて、件(くだん)の着物の制作に関わっていた。当時は一着1億円で取引されていた、と聞いている。河口湖町の一竹美術館の建設と開館に際しては泊まり込みで準備に参加した。
 調べてみると、破綻したのは美術館だけではなく、一竹工房も昨年(2010)3月に民事再生法の適用を申請していた。昨今、着物の世界は厳しいだろう。
 
 今日、ようやくファゴットソナタ第5楽章の改訂を終えた。これで初演に向けたリハーサルが進む。
 11月19日のコンサートには2000年頃に発想した曲ばかりが並ぶ。時、まさにウラノメトリア前夜だ。あの頃は今とは違った意味で熱かった。ひとつひとつの音を紡ぐような作り方をしていた。今は音は「グループとして発想されるべき」と考えている。だから「ミだけで」のような曲ができる。ミを一音一音並べていっても音楽にはならないが、ミのグループならば美しい音楽になり得る。
 そういえば昨夜は“たろ”とコンサートのパンフレットのデザイン用の再撮影で楽しい夜更かしをした。夜更かしは、もうビョーキだから仕方がない。深夜だったのでそっとピアノを弾いたところ、“たろ”が「ピアノってこんなに大きな音がするんだ」と驚いた。しかし驚いたのはこちらも同じ。ppで打鍵しただけだったからだ。
 おそらくピアノ弾きとは違う響きを聴き取っていたのだと思う。そう言われてあらためてピアノの響きを聴くと、確かにうるさい。ppなのにうるさいじゃないか。きっとドビュッシーもそう感じていたのだ。だから、楽譜にはppやpppが並んでいる。
 
 おちゃめさんから「ツイッターを始めたので作曲工房HPへのリンクを依頼」されたのだが、ここにリンクすれば話は早いことにいま気づいた。どちらにせよ、間もなく作曲工房のトップページか「お知らせ掲示板」にリンクが表示されるとは思うけれど、さっそくフォローしていただきたい。

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 なでしこジャパン準決勝は午前3時45分から。なんと中途半端な時刻なのだ。もう少し早いか遅いかしてくれれば見られるのに。