9月5日(金)、6日(土)

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 何をすればよいのかが分かるという日はエキサイティングである。昨日9月5日が、まさにそうだった。
 ウラノメトリア第2巻α版の、あるべき姿、つまり完成された全貌が容易に捉えられるようになってきたので、何を為すべきかが分かる。分かるとやらざるを得ない。やるなと言われてもやるだろう。この状態になればモチベーションがどうのこうのという話は馬鹿げたものに思えてくるから不思議なものだ。
 朝からディスプレイ上の五線紙にむかって、ひたすら音を紡いでいく。
 土肥先生に言われ続けてきた「音楽には聴こえる」という言葉の意味が痛いほどよくわかる。全ての音には意味と魅力がなければならない。この世に送り出す曲は、どんな簡単な練習曲でも、ワクワクしたり、胸キュンであったり、うっとりしたり、光り輝いていなければならない。言うも行なうも難(かた)しだが、すいすい書ける日もあるということだ。
 こういう日は万能感があって、ウラノメトリアなど早く仕上げてしまい、そして1年分くらいの生活費を稼ぎ出して、仕事をみんな断ってオーケストラスコアを書きたいと思ったりする。(あ、その間も、とむりんせんせい依存症の人のレッスンは休みませんからご安心を。私は重度の土肥先生依存症だったので、先生が亡くなられた時には自分の未来が閉ざされてしまったと思いました。私は土肥先生ほど偉くありませんが、土肥先生の教えを伝えている限り依存症の人がいると確信しています)
 
 それで今日9月6日。朝食時に、カミさんが「高校生クイズ」の録画を見せてくれた。「この子たち、すごいのよ」
 彼らはアメリカの50州、88星座、周期表、円周率などをどんどん答えていく。私は天文マニアだったから88星座どころか、四分儀座、ミツバチ座、アルゴー座、アンティノウス座、電気機械座、帝国宝珠座、ブランデンブルクの王笏(おうこつ)座のような妙なものまで知っているが、それはマニアだからであって、自らの基礎的教養としてそれらを身につけている高校生たちに脱帽。早惜しクイズでは、問題の途中で出題者の心理を読み解く洞察力に感服。このあたりになると記憶力だけでは太刀打ちできない。
 芸能人が馬鹿さ加減を競い合う番組もあるが、これは、その対極に位置する番組。この番組が進化していくと、最終的には発想を問うような内容の出題となるだろう。その場合の問題は、出題者が真の天才でなければならない。どんなに記憶力や計算力が優れていても、何を研究すべきかが分かるということは別の力だからである。
 例題。
「現在の逼迫した日本の財政事情を改善するために最も有効な手だては何か」
「日本の科学の基礎研究を底上げするために、もっとも有効な予算配分はどういうものか」
「日本の食料自給率を上げ、食糧安全保障を確立するために最初に行なう政策は何か」
自民党総裁候補の皆さんに問うてみたい質問ではある。