9月30日

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 一昨日、フルートソナタの初演時にピアノを弾いてくださった尾崎知子さんからメール。来年(2009年)のコンサートで、私の通称「夜の組曲(2001)」をオリジナル編成(バスフルート・ユーフォニアム・ピアノ)で演奏したいと計画しています、という嬉しい内容。もともと、非常に困難な編成による作曲依頼だったので、バスフルートにPAが必要になる。詳細は今後打ち合わせて行くことになるが、非常に気に入っている作品なので、演奏のためのスタンダードなルールを確立して、他の演奏者にも表現モチベーションとインスピレーションを与えられるような状況を作り出したい。
 第1曲「夜の幸いならんために」は、フルートソナタ(2007)を書くきっかけとなった楽章。第2曲「王の墓碑銘」は月明かりに照らされる残虐な王の冷たい墓石。第3曲「月の滴」はピアノソロに編曲して単独で演奏できるようにしたらとも思っている。第4曲「水の上にて歌える」は、一度頭に浮かぶとずっと鳴り続けてしまうような曲。第5曲「彼女は吠え、私たちは戯れる」は、夜明けの湖畔で目覚めた母犬と、少し離れたところでじゃれあう子犬たちをイメージした曲。

 朝の定期便でFM番組を紹介するために番組表を見たら、今日はリストのピアノソナタがある。以前からずっと気になっていた曲なのに詳しく聴く機会がなかったので、久しぶりにアルゲリッチ盤を持ち出して楽譜を追いながら集中して3回連続聴く。フーガによる再現部がすばらしい。第14小節のアウフタクトからフーガにすることを意識した動機が登場し、それが全曲を支配する。リストのピアニズムは、ショパンとは大きく異なっている。それはプロコフィエフへと受け継がれていると言えば少し分かりやすいか。リストの「スケルツォとマーチ」は、プロコフィエフの先駆を為す。
 しかし、人生は本当に限られた時間しかなく「ピアニスティックである」という点に関してはショパンドビュッシーを研究するだけで精いっぱいというのが本当のところだ。