12月15日(月)

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 年末を控えて今週はレッスンが比較的埋まっている。ありがたいことだ。定期レッスンは27日で終えるけれど、予約レッスンは31日までやっているのでご希望の方はご連絡いただきたい。

 今日の昼には久しぶりに「胡椒飯(こせうめし)」を作ってみた。
 これは享和二年(1802年)に刊行された杉野権兵衛の「名飯部類」にレシピが載っている。原文は簡単なものだ。

 洗ひ米一升に胡椒末(こせうのこ)六分の量を用ひ水率(みつづもり)常のごとくにし炊 達失汁にて食ふ 加料を用ひす

 当時、日本においても胡椒は貴重品であったのだろう。調味した出し汁と胡椒だけで食べる雑炊である。当時はよいペッパーミルがあったとも思えないので、粒胡椒は粗く挽く。胡椒を入れて炊き込むと香りが失われるので、普通に炊いたご飯に粗びき粒胡椒をまぶして、だし汁をかけて食べる。シンプルな料理だが実にうまい。柚子と刻み海苔をちょっと浮かせてもよい。あっという間にできて、普通のお茶漬けには負けない。江戸時代にこんなにモダンな雑炊を考案した杉野権兵衛は大変な食通だったのだろう。
 そもそも、料理雑誌の締め切りに間に合わせて大急ぎで考案された創作料理の大半は一回目はおいしい。レシピがスタンダードになるのは音楽同様大変なことだ。