12月24日(水)

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 ようやく心落ち着く日に戻った。
 インスピレーションに襲われるような日は万能感があって、いろいろなアイディアにかかりきりなのに、ピアノ鍵盤にたったひとつ平均律の乱れを感じただけで一台丸ごと調律してしまったりする。それが短時間で終わってしまうのが不思議。楽譜もあっという間に書けたりするので、後で思い返せば良かったような気もするが、少しもよくない。結局昨日までの3日間でいつもの1ヶ月分くらいの作業をこなしてしまった。ということは、回復するまでに1ヶ月くらいかかるということだろう。
 
 永六輔の「職人」読了。
 職人たちの言葉が列挙してある部分に次のような言葉があった。

「安いから買うという考え方は、買い物じゃありません。必要なものは高くても買うというのが買い物です」

 今の不況を徐々に用意してきたのが、この逆の「安いから買う」という考え方だろう。その考え方を導きだしたのが大量生産システムである。全く同じものなら安いものを買うのは当然だが、職人の手作りならそういうことは起こらない。ピアノも同じ型番が付されてカタログに載ってしまうと、同じものに見えてしまって安い店で買うことになる。同じピアノは世界に2台とない。洗濯バサミは大量生産に向くけれども、ピアノを含めて大量生産に見えるけれども実はひとつひとつ違うものもあるということだ。