12月29日(月)Sonata on DEAC

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 「音の絵日記」サイトに温田絵里子さんの新曲「Sonata on DEAC」の第1楽章がアップされた。皆さんにぜひ聴いていただきたい。この曲は作曲レッスンの課題として書かれたものだが、私はほとんど何もしていない。すべて彼女の力によるものであって、もし私が関与しているとしたらクジ引きがうまかったことくらいだろう。というのは、この曲は断片的な部分動機から全曲を構成するという作曲課題だったので、その部分動機は2人で互いにクジを引いて4音を選んだからである。その4音がDEAC(ニ-ホ-イ-ハ)だった。この部分動機は原形(Original)、反行形(Inversion)、逆行形(Retrograde)、逆反行形(Retrograde inversion)の4つの形をとることができ、さらにそれらは縮小形(Diminution)と拡大形(augmentation)をとることができるので、これらを駆使して曲全体の統一を図るという技法をマスターすることが目的。対位法ではごくごく当たり前に使われる技法だが、過去の大家たちはこれを対位法以外にも応用してきた。重要なことは、部分動機による統一は変奏曲とは全く意味が異なるということである。
 センスだけでもある程度の曲は書けると思うが、説得力のある曲を継続的に、それも自らが向上しながら書き続けようと思ったら学ぶべきことをきちんと学ぶ必要がある。和声学や対位法などのような理論だけでは全く足りない。そのような理論は必要ではあるけれど、どのように発想すべきかという問いに対して答えてくれることはない。
 下記サイトが開いたら、トップページ右下の「Sonata on DEAC」をクリックすると彼女自身のピアノ演奏で聴けます。

http://otonoenikki.com/