1月31日(土)

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 蔵書、あるいは読んだ書物を公開するということは情報収集の秘密を公開するようなものなのだが、紹介したくなる本についてはやはり書きたい。
 今日は2冊を読んだのだが「造形集団 海洋堂の発想」(光文社新書 2002年刊)が面白かった。精密、かつマニアックなフィギュアで知られる海洋堂の歴史を、創業者の子息である宮脇修一さんが書いたものだ。著者は高校に進学せずに模型一筋の人生を送ってきた人だ。プラモデルや模型を売る、ただの個人商店であった海洋堂が一流ブランドに成長するまでの道筋が淡々と綴られている。もっとも興味深かったのは、クリエイターと商売人の違いがはっきりと分かるくだりである。いわゆる食玩は、お菓子メーカーとタッグを組むわけだが、海洋堂のクリエイター精神を理解しないと真の成果は得られない。言い換えれば、一流のクリエイターと一流の商売人が組まなければダメだということである。一流とは、もちろん本当のことが分かることであることは言うまでもない。