4月3日(金)

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 午前中に、久しぶりにみかんちゃんが来た。彼女が弾いたのはショパンのバラード第1番。ショパン・センスのよい彼女は元々ショパンとは相性がいい。まだ完成はしていなかったものの、完成したら名演の予感がある演奏だった。
 午後の空き時間は父を近所の桜の名所に連れていこうと思ったが、父の用事が終わらず、母をクルマでスーパーに連れていくことに。桜は五分咲き。
 明日から数日間、レッスン予約がいつもよりも多く入っており、その準備で慌ただしい。作曲を依頼されたら必ず依頼者の想像力を超えたところで仕事をしなければならないのと同じで、レッスンも想像の及ばぬ成果を求めるべきだろう。土肥先生曰く「子守りはしない」。今は、その意味がよく分かる。逆に言うと子守りをされるような弟子では駄目ということだ(注:そんな人、作曲工房にはいませんよ、もちろん)。
 夜、女優の麻里万里さんから、5月の朗読会で私の曲を使いたいというメールをいただいた。もちろん快諾。5月17日ということなので、この日はレッスンを入れないようにしなければ。

 先月発表された政府の「有人月探査計画」が腑に落ちなかったのだが、夜の不定期便にリンクしておいたフリーライター松浦晋也さんのコラムを読んでようやく概要が分かってきた。
 首相官邸のHPによると「宇宙開発戦略本部」の構成員は、

本部長
 内閣総理大臣
副本部長
 内閣官房長官
 宇宙開発担当大臣
本部員
 本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣

ということだ。
「宇宙開発戦略専門調査会」というものもあり、メンバーには、讀売新聞東京本社専務取締役論説委員長、リコーソフトウェア株式会社取締役会長、みずほフィナンシャルグループ取締役社長、株式会社バンダイ社外取締役など、メディア・経済界の歴々が名を連ね、マンガ家の松本零士さんも入っている。
 発表されている資料には以下のような文言もある。

「○特に大規模な探査プロジェクトに関する今後の計画立案にあたっては、研究者からのボトムアップによる科学目的を保持しつつ、トップダウンによる国家戦略としての政策的な観点のすり合わせも踏まえ、決定する必要がある(これらを勘案した月探査計画は次項に示す)。」

トップダウンによる国家戦略としての政策的な観点のすり合わせ」とは、要するに、これは科学探査ではないということだろう。宇宙における「有人探査」と「無人探査」は大きく意味が異なる。有人探査は、人による高度な判断を盛り込むことができるが、生命維持のために大がかりな装置と時間的な制約、および安全な場所でしか活動ができない。それに対して無人探査はプログラムした探査に限られるという側面はあるものの、装置は数分の一から数十分の一で済んだり、危険な探査も可能であったり(データ量は無人のほうが多い場合もある)、あるいは小惑星探査機「はやぶさ」のように、アクシデントがあった場合でも帰還を数年遅らせることができるという利点もある。
 無人探査に切り替えて、浮いたコストを経済対策や年金対策に振り向ければ日本国民の暮らしが良くなることは間違いないだろう。