4月22日(火)

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 イギリスの作家、J.G.バラード氏が亡くなった。享年78歳。
 私が彼の作品を読みふけっていたのは高校生の時だった。「狂風世界」「沈んだ世界」「燃える世界」「結晶世界」などは、起こった現象の理由が説明されておらず、淡々と世界の破滅を描写していく(狂風世界は、最後には風がおさまる)という幻想的な物語だった。短編集も「時間の墓標」「溺れた巨人」「永遠へのパスポート」「時間都市」など、実に新しい物語だった。描写はあるけれど説明はない、というところだろうか。一般の人々にはスピルバーグによって映画化された「太陽の帝国」によって広く知られることになった。
 再び読み返そうとは思わないけれども、私の青春の一ページに思い出を残した作家であったことは間違いない。