9月12日(土)

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 本来ならば、ここにウラノメトリアやその他の作品の進捗状況を書くべきなのだろうが、作曲の休憩タイムに日記ページに向かうことが多く、今日も興味ある話題から。
 私は太陽光発電の推進派論者なのだが、未だに太陽光発電そのものに関して事実とは異なる思い込みで記事を書くジャーナリストなどがいて驚く。曰く「ソーラーパネルは、その製造過程に排出される二酸化炭素分を回収できない」、「(太陽光発電を40倍にするという政策に対して)シリコンの供給不足で現在の40倍のパネル供給は不可能」、「太陽光発電が増えると余剰電力によって電力網がパンクする」などだ。
 家庭用に市販されている実用型の、発電効率がそれほど高くないパネルでも最大1年半ほどの稼働で二酸化炭素の収支はイーブンになる(放送大学のデータから)。以後の稼働は二酸化炭素削減となる。確かに今の日本はシリコン型のパネルが主流だけれど、世界の趨勢はすでに薄膜系パネルや、さらに非シリコン系薄膜パネルに移りつつある。それは、それらの製造コストが1ワットあたり1ドル以下まで下がってきたからで、これで太陽光発電化石燃料のコストに対しても優位に立てるだけの競争力をもったことになる。これはエネルギーの革命である。今月8日にはアメリカのFirst Solar社が、中国当局とモンゴルに薄膜ソーラーパネルによる2ギガワットの太陽光発電所の建設に合意したという報道があった。
 太陽光発電は昼間の晴れた日にしか稼働しないので実際には役に立たないという意見もあるが、確かに主力発電所にはなりにくい。しかし、水を酸素と水素に電気分解して別のエネルギー形態に変換して燃料電池用に使ったり、あるいは昼間の電力使用ピーク時により多く稼働するという特性を活かして原子力発電をバックアップすれば、夜間の余剰電力問題の解消にも役立つことだろう。つまり、うまく連携させれば余剰電力による送電網のパンクをむしろ防ぐ方向に働かせることができるだろう。
 前にも書いたが、家庭用太陽光発電は電気自動車と相性がよい。うまく使えば電気自動車の走行エネルギーコストをゼロにできる可能性さえある。災害時などには、電気自動車のバッテリー(現在の自家用車に搭載されているものは比較にならないほど大容量)を家庭用電源に戻せば停電時でも夜間の部屋の照明くらいなら賄える。
 日本でも近々、余剰電力制度が開始されるので、安価な非シリコン系薄膜ソーラーパネル(ホンダや昭和シェル石油はすでに市販を始めている)が一気に普及する可能性もある。
 つけ加えるならば、地球温暖化と言えば化石燃料二酸化炭素が主因であると反射的に考えてしまうが、そのような問題がなくとも地球の歴史では温暖化と寒冷化が繰り返されてきた。化石燃料の消費量を減らすことには賛成だが、温暖化の原因については決め込まないほうがよいかも知れない。もちろん、二酸化炭素の疑いは最も高いけれど、常に他の可能性も考えの中に置いておくということだ。そうしないと、本当のことを見逃す可能性があるからだ。