5月16日(日)、17日(月)

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 昨日(16日)は、うっかりとPCの前で寝込んでしまって気がついたら朝の5時だった。というわけで作曲工房日記を書くきっかけを失ってしまった。第一、こんな生活は身体によくない。作曲は体力だ。
 昨日の午前はレッスン。午後は秘密のプロジェクトのために走り回った。
 夕刻、天文現象カレンダーで予告されていた “金星と月のランデブー” を見て、その予想以上のファンタスティックな光景に、思わずカミさんを外に連れ出す。クレセントムーン(三日月のような細い月を指す)も金星も珍しくはないが、このポジションを取ると全く別物に変化する。数音しかないメロディーがペリオーデに沿って “ドレドレ感” を与えられるのにも似て、この瞬間だけの美しさなのだろう。カミさんもじっと見つめていた。これは日本など一部の地域だけに与えられた幸運だ。アメリカやヨーロッパでは、夕刻にこの光景を見る事ができない。月が金星を追い越す前か、あるいは追い越して遥かに離れた後だろう。

 今日(17日)は午前中が空いていたので、またまた銀行を回るなどの雑用をこなした。帰宅後、父と昼食を済ませると、図書館まで調べものに行くというのでクルマで送る。目的は講談社から出ている「新日本大歳時記」。手持ちの歳時記には載っていない季語を確認したいという。買ったらどうかと提案したが、大きすぎて必要ないとのことだった。図書館で実物を見ると、確かに大著で、お世辞にも使いごごちは良さそうではなかった。しかし、父の92歳の誕生日には子どもたち3人で贈ってもよいと思った。
 午後からレッスンが続いた。4月から、ひかりちゃんとユリちゃん姉妹のレッスンが続きの時間帯になったので、2人が揃ったところで、一緒に月を眺めた。小さな望遠鏡でも月面のかなり詳しいところまで見ることができる。レッスン室の北側の窓を開けて望遠鏡の視野に月を入れる。金星は月の遥か下に離れていた。今日の月面は、ちょうど危機の海がよく見えていた。もの静かなひかりちゃんが、すごいすごいと連発する。目が慣れてきたところで月面図を見せる。危機の海を認識するとあとは彼女でも周囲のクレーターを同定できる。クレオメデスやマクロビウスとおぼしきクレーターや豊かの海、あるいは巨大なジャンセン・クレーターを見つけていく。ユリちゃんは月が動く速さ(地球の自転による)に驚いていた。今日は10分くらいの観望だったけれど、皆既月食やプレアデスの食などを観察していると、月の公転速度を感じることができる。月の軌道速度は約0.95km/sで直径が3480kmほどなので、およそ1時間でその直径分を進むことになる。(月軌道の平均半径を38万4000Km、公転周期を29.5日として)
 レッスンを終えてから、NHK総合の「こころの遺伝子」にヨットマンの白石康次郎さんが出ていたので視聴。白石さんの前には多田雄幸(ただ・ゆうこう)さんと植村直己さん、あるいは西堀栄三郎さんらがいた。西堀栄三郎さんは日本の南極越冬隊の初代隊長を務めた人で、今西錦司さんと並ぶすばらしい冒険的科学者。
 自然の中で生き抜くことのできる人は、おそらくとてつもなく謙虚な人なのだろうと思う。私自身は海も山も怖くて近づくことすらできそうにないが(荒れた海で溺れる夢を、忘れた頃に繰り返し見る)、人間が自然の中で生まれたことを思い出させてくれる人には全て畏敬の念を抱いてしまう。