12月9日(木)

106555

 いずれ音楽コラムに詳しく書くことになるかも知れないが、たとえばベートーヴェンの真似をして作曲することは極めて困難だ。パロディーならばいくらでも作れることだろう。しかし、ベートーヴェンを真似ることは難しい。
 ベートーヴェンは、習作期や最初期を覗けば “書き尽くす” 作曲家である。つまり、月光ソナタに似ている曲も、ワルトシュタインソナタに似た曲も、もっと簡単に言えば、どの交響曲にも焼き直しがない。つまり、ベートーヴェンの贋作を作ろうと思ったら、それらの曲と同じレベルの全く独創的な作品を発想しなければならないことになる。
 少なからぬ作曲家が自らのパロディーを書いて曲数を稼いでいる。しかし、ショパンドビュッシービゼーチャイコフスキーも、作品一曲ごとに作曲者と作品特有の2つの個性を持っている。
 作曲を志す者は、誰もがこの問題を避けて通ることはできない。
 続きもあるが、また別の機会に。