1月4日(火)川村記念美術館

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 今年の正月はフルコースだ。
 今年は喪中で年始回りに行くことも、客人を迎えることもない。加えて、風が父の昼食を始め、留守中の世話を買って出てくれた。この機会を生かさない手はない。
 今日は2日のホキ美術館に続いて、カミさんと千葉県佐倉市にある川村記念美術館へ行った。DIC(旧名:大日本インキ)の創業者3代にわたる収集品を収めるハイレベルな私立美術館。
 今日は珍しく自分で運転してクルマで出かけた。外環道を通って市川駅前までわずか50分で到達。そして、以後一般道をだけを走って2時間弱で美術館に到着。外環道が延伸したらさらに所要時間が短くなることだろう。
 力を入れているのは現代美術という触れ込みだが、歴史的絵画の展示の質も高い。たとえば、最初に我々を迎えてくれる第101展示室の今日の展示品は以下のとおり。
 ルノアール「水浴する女(1891)」、ピサロ「麦藁を積んだ荷馬車、モンフーコー(1879)」、モネ「睡蓮(1907)」、ボナール「化粧室の裸婦(1907)」、マティス「ひじ掛け椅子の裸婦(1920)」、ブラック「マンドリン(1912)」「水浴する女(1926)」、ピカソ「シルヴェット(1954)」、キスリング「姉妹(1950)」、シャガール「赤い太陽(1949)」「ダヴィデ王の夢(1966)」、藤田嗣治「アンナ・ド・ノアイユの肖像(1926)」「二人の友達(1929)」、ブールデル「果実(1911:ブロンズ)」、ブランクーシ「眠れるミューズII(1922/76;研磨ブロンズ)」。
 この部屋を巡るだけで入場料の900円の元が取れるどころかお釣りがくるくらいだ。今日はブランクーシの「眠れるミューズ」とフジタの「アンナの肖像」を“お持ち帰り”したくなった。
 102展示室はレンブラントの「広つば帽を被った男(1635)」
 103展示室はマレーヴィチらの現代美術。そこを過ぎると奥まったところにある110展示室。
 我々を最初に迎えてくれるのが加山又造の四曲一双の屏風「舞鶴(1982)」。ホキ美術館にあっても不思議はないような写実的な力作。正面には尾形光琳の「柳に水鳥図屏風(18世紀)」、そして「舞鶴」の対面には、圧倒的な存在感で迫る長谷川等伯の「鳥鷺図屏風(1605年以降)」。これは1月30日までの展示。残りの一面には鏑木清方の「四季美人」。前回訪れた時には全て違う作品が展示されていたが、横山大観鏑木清方の大作は見ごたえ充分だった。104展示室のエルンストの「石化せる森」を始め、ジャン・アルプ、マグリット、デュビュッフェ、ヴォルス、マン・レイ(写真ではない)も見逃せない。今日はカルダーを展示する105室は公開されていなかった。
 そして世界にただひとつの「ロスコ・ルーム」やバーネット・ニューマンの「アンナの光」。これらは絵画を鑑賞するというよりは、場を提供されるという芸術。ニューマン・ルームが仕事部屋だったら、きっと作曲する曲が変わってしまうだろうと思う。201展示室の第二次世界大戦後の抽象美術は、ポロックやサム・フランシス、などのほかに残念ながら評価の難しい作品が並ぶ。
 202展示室のロイ・リキテンスタインの「大聖堂」シリーズやアンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」の連作はそれなりに面白かった。
 収蔵作品が多く、展示の入れ替えがあるので、できればしばしばリピートしたいものだ。

 帰宅後は、フルートカルテットの最後の展開とコーダを書く。しかし、レンブラント長谷川等伯にあてられてしまって、そう簡単に妥協点を見いだすことはできなかった。

 交通アクセスの悪いところだが、東京駅から「川村記念美術館行き」の高速バスがでていると妹から連絡をもらった。これは使えるかも知れない。ちなみに美術館は来館者がいないわけではないが、空いていてゆったりと鑑賞できる。これは、アクセスの悪さの良さかも知れない。
 美術館の周囲には広大で美しい散策路があり、時間に余裕があれば歩くのもよいだろう。