3月18日(金)海外政府の厳しい目

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 世界各国政府が日本政府の隠蔽体質を懸念しているという報道があった(報道各社)。
 アメリカ政府は核事故後直後に、対策チームを送ると日本政府に支援を申し出たが日本政府はこれを断った。その後の日本政府の対応を見たアメリカは、ほとんど何も進まない日本の事故対応に苦々しい思いをしたとともに不信感を持ったことだろう。事故現場の人々が命をかけているのに、バックアップなしで事故対応を丸投げしているようにも見える。
 アメリカ政府の対応策が廃炉を前提としたものであったことが、日本政府が受け入れを拒否した原因ではないかと報道されていたが、原子炉と福島県のどちらが大切なのだろうか。海外メディアを信じるならば、このまま事故対応が遅れるならば福島県全域、あるいはそれ以上の地域が100年以上人の立ち入ることのできない汚染を受ける可能性がある。
 下のリンクは、IRSNというフランスの放射線保護原子力安全研究所が作成した「福島原発事故によって拡散する放射性物質の濃度シミュレーション」。これが本当なら関東地方の広い範囲が3月15日に核汚染されていることになる。それを裏付けるニュースとして、各国空港で日本からの飛来機の放射線測定が始まったというものがある。

La dispersion des rejets radioactifs dans l’atmosphère
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 米空母ロナルド・レーガンが本州太平洋岸から退避した理由も手に取るように分かるシミュレーションだ。
 IRSNは昨日(17日)、日本が48時間以内に何らかの有効な手段を講じなければ、チェルノブイリを超える悲劇が起きかねないとの見解を示している。

 日本の大手メディアは基本的に政府発表に沿って報道しており、独自の調査結果に基づく報道は寡聞にして知らない。海外メディアは他人事の報道ともとれるが、内容が国内メディアと海外メディアの乖離がここまで大きくなると、不安が大きくなるのは当然だろう。アメリカやヨーロッパからは、日本も、アジアにいくつか存在する報道管制を敷いている国々と同列に見えることだろう。


 しかし、こんな中にあっても、作曲家の本分と使命は作曲である。ベートーヴェンの「社会分業論」に沿えば、核事故対応に寄与できない私のような人間は、きちんと作曲に努めて社会に役立たなければならない。そして音楽は、そのくらいの精神力と人生観を与えてくれたはずだ。人間を根本的に成長させる力がなければ音楽など無価値だ。
 と、思うものの、人間ができていないからいろいろなことが手に付かない。