7月26日(火)

176655


 子ども時代、私はクラシックを聴いても、冒頭部分か有名な旋律だけを覚えるだけだった。
 中学生くらいになると、一応最初から最後まで聴けるようになったが、とびとびにしか覚えられなかった。
 ところが、ピアノの先生のレッスンのおかげで1次元的な(つまり直線的な)時系列構造を理解すると曲の全体像を捉えられるようになった。このレベルでも音楽は十分楽しめる。実際、ここから先へは進まない人が少なからずいることだろう。
 高校生になって正式な作曲のレッスンを受け始めると、理解は平面構造、さらに立体的な構造に及んだ。平面的な広がりとは第1主題と第2主題が同じDNAから発想されてコントラストを形作っているというようなことで「猫には猫耳」とたとえることができる(音楽への生命のデザインの導入)。そして、その2つの主題が対位法的な扱いで同時進行すると、それは視覚的に言うと近景と遠景のように感じられ、音楽が3次元化して聴こえることになる。
 ここまで来ると、モーツァルトがどうして天才と言われるのかが、言葉ではなく、そのまま理解できるレベルになる(しかし、モーツァルトの全てが分かるわけではない)。
 さらに、理解が進むと優れた作曲家は楽器や演奏形態(独奏曲なのか、アンサンブルなのか、オーケストラなのか)によって発想していることに気づいたりする。つまり、曲(作曲者)の魅力、楽器の魅力、演奏者の魅力の3つを見事にバランスさせながら書いている作曲家が本物であることが分かってくる。
 さらに理解が進むと、誰も気づかなかった(楽器製作者も想像すらしていなかった)楽器の魅力を発掘してしまう作曲家の存在にも気づくようになる。
 メロディーだけを追いかけているのでは実にもったいないのだが、意外にも独力でたどりつくのは難しい。

 この日記にはほとんど書いていないが、我が家では毎週2〜3枚のDVDをレンタルしている。だから、毎月、かなりの数の映画を観ることになる。今月も10本くらい観ただろうか。時間がないので深夜の視聴となってしまうことが多く、昨日も午前2時を過ぎてから「告白」を観た。始まりだけを観ようと思っていたのに、結局全部観てしまった。かなりよくできた映画だった。脚本も映像も考え抜かれており高得点。
 
 11月19日の「野村茎一の世界」のチケット発売は9月1日からと決まった。一般2000円、蕨市市民1800円、高校生以下1000円(未就学児は入場不可)、全席自由。市民料金があるのは蕨市立文化ホールが共催で、ホール利用の恩恵を受けているため(蕨市市民は蕨市に住民税を納めている)。


>とても珍しいジューズハープの協奏曲。最初は冗談かと思ったほど。作曲者はベートーヴェンも師事したことのあるアルブレヒツベルガー。リンクは第3楽章。

Mvt 3 Albrechtsberger's Concertino for Jew's harp | Larghetto