7月28日(木)

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 今日は印刷会社の、川口市にある工場へ出向いて「野村茎一の世界」のチラシのデータ入稿を済ませた。下の画像は、そのときに出力してもらったカラー確認のためのサンプル。


 「新・リストラなう日記 たぬきちの首」というブログの7月27日の記事に、映画「悪人」の映画評があった。実は「悪人」を一週間ほど前に観ており、今は観たばかりという事情もあって「告白」の印象のほうが強いのだが「悪人」もなかなかよくできた映画だった。
 ついでにバラしてしまうと、ちょっとした訳あって「インセプション」と「ナイト&デイ」も観る機会があった。前者はレオナルド・ディカプリオ主演で渡辺謙が共演していることで話題になった作品。後者はトム・クルーズキャメロン・ディアス主演によるスピード感あふれるアクションもの。どちらも明け方に画面を見つめていたのだが、インセプションは設定が難しいところがあって、同じシーンを何度か見返さなければならなかった(つまり、寝不足のために途中で集中力が途絶えた)。

 衝撃のニュースと言えば、小松左京氏が亡くなられた。現在はSFという概念が広く浸透したために、ジャンルそのものが目立たなくなってしまったが(ドラマ「仁」はタイムスリップテーマであるにもかかわらずSFとは言わないだろう)、小松左京は、その嚆矢となった作家の一人だ。小松左京以前のSFは子ども向けであったと言っても過言ではない(一部にはマイナーながら子ども向けではないレベルの作家もいた)。SFは小松左京星新一筒井康隆(そうだ、今月は「パプリカ」も観た)、眉村卓光瀬龍豊田有恒、福島正美、矢野徹田中光二山野浩一あたりが戦後第一世代だろうか。小松左京や福島正美が牽引役を果たしていた(福島正美は小説家としての力は弱かったが才能の発掘という点で優れていた)。さらに小松左京は作家のみならず、他の分野でも活躍していた。最初に読んだ小説を思い出せないが「果てしなき流れの果てに」や「復活の日」は衝撃的な作品だった。有名な「日本沈没」が出版される頃までには20冊を超える小松作品を読破していたはずだが、「日本沈没」がベストセラーになったのを見て、作品の中身ではなく話題がベストセラーを作ることを学んだ。まさにSFの「浸透と拡散」の時代を生きた作家だった。

 そういえば、今日(もう昨日だ)のベストオブクラシック「セーラ・ウィリアムソン クラリネット・リサイタル」は素晴らしかった。レッスンと重なったので全てを聴けたわけではないが、非常に優れたクラリネット奏者だと感じた。再来日したら必ず聴きに行かなければ。
 それでまた思い出したが、午後2時からのクラシックカフェでバルトークの第5弦楽四重奏曲を演奏したツェートマイア四重奏団の演奏が、これまた素晴らしかった。第1楽章冒頭の軽やかさは、今までに聴いたことのない表現で、5番のイメージが修正されたほどだった。古くはスメタナ四重奏団や東京カルテットあたりの演奏が名演だと思うが、他のカルテットにしてもどれも聴く者が叱られているかのようなエネルギッシュな表現だった。それが、本当に軽やかな美しさで表現されていたのだ。早速ツェートマイア盤を注文しなければ。