12月31日(土)大晦日

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 すでに新年を迎えているのだが、私自身は祝うムードではない。今年は喪も明けたが年賀状ではなく寒中見舞いの予定。
 定期便にも書いたように未来は不透明だからだ。どんな時代でも、シンプルに信念を貫き通した人だけが自己を実現してきた。天災、金融不安、健康不安など先の読めないことばかりだから、こういう時には人としての力が問われる。簡単に言ってしまえば「為すべきことを為す」力だ。天才である必要も高偏差値である必要もない。後から振り返って、誰もがその行動こそが必要だったと思うようなことだ。それは日頃の小さな判断をおろそかにしないことによって培われる力だ。その積み重ねこそが、いざという時の大きな判断を可能にする。
 「様子を見る」というのは判断できない状況を指す。様子を見ることは必要だが、どの時点で正しい判断を下せるかが「人としての力」と言ってもよいだろう。
 毎日毎日が無数の判断のくり返しで、その判断の差が人々の人生に大きな差を生む。
 何かに打ち込むということ自体が、それらの訓練になっているように思う。

 我が家は、ようやく正月の準備が整った。カミさんの提案で、モリアキ翁のための「のどにつかえにくい餅」を作ることにしていたのだが、今日、いよいよ実行。うすも杵もないので、炊いたもち米をキャセロールに入れて、すりこぎで打って、わずかに米粒の形が残るくらいまでついた。打ち粉をして四角く伸ばして出来上がり。少しちぎって醤油をつけて食べると、これがうまい。みんな自制しないとモリアキ翁の分がなくなってしまいそうだ。
 午後に、次男坊の “海” が帰ってきた。半年ぶりくらいだろうか。モリアキ翁と並んで写真を撮ったら、初日の出を見に行ってしまった。“海” の名前は海洋と書いて「みひろ」と読む。
 夜は長男の “風” と一緒に呑んだくれた。彼がとても良いブランデーを持っていたからだ。肴は今日買ってきたブリーチーズ。“風” がブリーチーズとブルーチーズを取り違えたので、こりゃいかんと思って買ってきたものだ。
 こんなところで薀蓄を垂れても詮ないが、ブルーチーズはゴルゴンゾーラロックフォールスティルトンに代表される青カビ系の匂うチーズ。私はあまり得意ではない(2011年にはおいしいロックフォールに出会ったけれど)。それに対してブリーは、フランスに伝わる白カビ系のチーズで、良質のものは美味しいバターを食べているような口どけを楽しめる。カマンベールはブリーチーズから派生した。チーズが苦手のカミさんもほとんどクセのないブリーは食べられる。
 ところで、“風” の名前は風美雄と書いて「ふみお」。海と合わせて「風と海の対話」になる。ドビュッシーだ。本来は、カミさんと、娘が生まれたら風美(ふみ)と名付けようと話していたのだけれど息子に命名してしまったものだ。3番目に娘が生まれてしまって、七夕の頃に生まれる予定だったので織姫星から一文字借りて美織(みおり)。だれもが “たろちゃん” と呼んでいるので、本名を知らない人がいても不思議ではないくらいだ。
 こんなことを書くとは、まだまるで醉いから醒めていない証拠だ。そろそろ寝ることにする。
 
 2012年の目標は「淡々と成し遂げる」というところだろうか。何事も起こらないことが良い年なのではなく、何が起こっても乗りきれるような、そういう意味で良い年であって欲しい。
 この一年、作曲工房サイトにおいでいただいた皆さんに深く感謝いたします。