9月14日

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 今日は中秋の名月。午後7時頃に美しい月を眺めることができた。
 さて、午前中は父親を地元の敬老会の行き帰りをクルマで送迎。その合間にソナチネアルバムの「初版および初期楽譜に基づく校訂版」を読み込む。解説ページに複前打音を「アポジャトゥーラ」と読み換えていたので気になった。アポジャトゥーラは本来、和声学用語で「倚音」を指す。短前打音は、ほぼ確実に倚音だが、クーラウの作品20-2第1楽章の47小節などに現れる複前打音は倚音ではない。ひょっとすると、和声学的なことに関わらず、前打音のことをアポジャトゥーラという慣行も生まれているのかも知れない。同音連打の運指に関しても、指かえする運指は「ウィーン式アクションのため」で、現代のピアノではそれほどスピードが早くない連打では同じ指を使ったほうが表情をコントロールしやすいとあった。ウラノメトリアでは、ゆっくりとした連打であっても鍵盤を必要以上に持ち上げないために指かえを推奨している。「ウィーン式アクション」のピアノを探し出して実際に演奏して連打の運指について検証しなければならない。

 午後はソナチネ第9番第2楽章の演奏をしてくださった小池宏史さんのレッスン。彼は私と“同類”なので、細かいレッスンよりも考え方だけを伝えたほうが早い。音楽は、最終的には習うことができず、自分で追及したところまでしかたどり着けないものだ。

 明日は数学者のM先生のレッスン。今日、前回までのレッスン内容をまとめ、彼なりに発展させた見事なレジュメが届いた。こちらも明日のレッスンの準備はほぼ終わっている。お互い手ぐすね引いて鼻息荒く明日を迎えようとしているというところだろう。彼のレジュメは、このまま公開したいくらいだ。