フランス人形の演説

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 予報よりも早く台風13号は関東地方南海上を通過したため、朝から良い天気となった。
 昨夜のレッスンで、Sさんから、いわゆる「生ピアノ可 賃貸物件」を契約したことをお聞きした。賃料は高めだけれども、生ピアノが弾けるのは素晴らしいことだ。音楽大学の周辺にはピアノ可物件があるけれど、女性限定であったりする。

 ずっと曲名についてアイディアを練り続けている私を見かねたのか、長男の風太郎が面白いことを言った。
組曲“傀儡政権”」というのだが、その中には「フランス人形の演説」「テディベア大統領」「市松人形の反乱」(一部編集)・・・・etc.などの曲が連なっている。「フランス人形の演説」あたりは使えるかも知れない。

 午前中はショパン「幻想即興曲」の3つの版、つまり初稿、決定稿(ルビンシュタイン版とも)、フォンタナ版を比較検討した。慣れてしまったこともあるが、フォンタナ版がもっともよくできていると思う。ネットで検索すると、それぞれの版に対する様々な評価や、ショパンがこの曲を「死後、破棄するように」と指示した理由などが書かれていたが、どれもすんなりと納得できるものではなかった。ショパンが破棄を指示した理由は「月光ソナタとの類似」であろうと思われる(ショパンは完璧主義者で潔癖症だったのだろう)。調性の一致(嬰ハ短調-変ニ長調-嬰ハ短調という構成はそのまま月光ソナタの各楽章と符合する)、第7小節と月光ソナタ第3楽章第187小節との類似性などから、ショパンが月光ソナタから発想したことが窺えるからである。しかし、そこにショパンのオリジナリティは間違いなく際立って存在しており、ショパンはそのようなことを気にかける必要がなかった。

 午後は、“ちびまゆ”と“あきひろ”君のレッスン。2人ともとても音楽センスがよい。アゴーギクを感じとるセンス、正しいピアノテクニックに到達するまでの早さと正確さは特筆もの。問題はそれに自分たちが気づいていないことかも知れない。