11月21日(金)

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 1997年に山一証券が自主廃業した時も驚いたが、日本最大の企業でもあるトヨタを始めとする自動車各社が経営不振に陥るとは、ほんの数年前でさえ予想した人は多くなかったのではないか。もちろん、経済分野などの専門家の中には、現在の金融不安を予想していた人もいたことだろう。実際、NHKスペシャルでは、すでに2003年にすでにアメリカの住宅バブルに陰りが見え始めたことを報道している。金融不安が起きればクルマなどの高額商品が影響を受けやすいことは自明であり、おまけにクルマは消費者の所有したいという強い欲求によって支えられていた。若者のクルマ離れが言われるようになってからも久しい。
 進化論における「強い者ではなく、変化する者だけが生き残る」という言葉がここでも当てはまるのかも知れない。
 かつて、日本では農業は格好悪い業種だった。日本の若い女性が結婚相手はサラリーマンがよいと答える時代もあった。実際、そうだったのだろう。しかし、今、農業は決して格好悪くなどない。日本テレビの「鉄腕Dash」という番組では「Dash村」の放映日の視聴率が高いとも聞いた。しかし、まだ誰もが帰農できるような社会構造にはなっていない。人々は、当分のあいだ求人票に頼るしかない状況がつづくことだろう。
 もし、日本の食料自給率とエネルギー自給率が高ければ、海外の金融不安に翻弄されることも少なくなるかも知れない。
 最終的には、これらの実現は長期的な展望に立った教育改革によってのみ実現されることだろう。将来少しでも他人よりもよい暮らしをするために教育を受けさせるのではなく、少しでも暮らしやすい世界のために教育を受けさせるという意識の転換が必要である。