12月9日(火)

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 経済アナリストの森永卓郎氏が日経BPに連載しているコラムで、アメリカが日本政府に求めた「年次改革要望書」にある「クレジットスコア」導入に意義を唱えている。
 一部を引用する。

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 クレジットスコアとは、いわば個人の信用評価点で、個人ごとに300点から850点の点数がつけられている。もともとは融資やクレジットカードの審査効率化のために導入されたもので、その点数によってどれだけお金を貸してもいいかを測る目安としているわけだ。

 クレジットスコアを審査する機関はいくつかあるが、算定基準は公表されていない。ただ、基準の一つとして明らかなのは、クレジットカードの利用履歴である。カードの引き落としができなかったり、キャッシングの支払いが遅れたりするといった返済事故が起こると点数が落ちる。

中略

 厄介なのは、いったんクレジットスコアが落ちると、社会生活がスムーズにいかなくなっていくことだ。新たにクレジットカードがつくりにくくなったり、金利が高くなったりという悪循環を繰り返し、ますます暮らしにくくなってしまう。米国の格差社会をつくっている一因と言っても過言ではない。

中略

 米国に住んでいる知人に聞いた話だが、携帯電話の購入はもちろん、レンタルビデオを借りるときもクレジットスコアを記入しろと言われるという。ちなみに、自分自身のクレジットスコアは照会できる仕組みになっている。

 それだけではない。就職の際にもクレジットスコアが採用の参考にされているのが実情である。さらに、本当かどうか知らないが(おそらく本当だろうが)、好きな人にプロポーズしたところ、相手にクレジットスコアを尋ねられたという話まで伝わっている。

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 アメリカ政府が突きつけてくる「年次改革要望書」の内容は「郵政民営化」や「コンビニでの医薬品販売解禁」をはじめ、次々と実現している。クレジットスコアが導入されると、ますます個人の経済格差が拡大することになるだろう。

 次の話題。
 アメリカの「トリビューン」破綻が、最新のニュースで伝えられていた。日本の新聞社にとって、これは対岸の火事ではないだろう。日本のように新聞販売店が宅配するシステムをとっていると、新聞社が破綻した時の社会的影響が大きい。テレビ局でさえ、安泰とは言えない状況だろう。すでにアメリカでは3大ネットワークの視聴者平均年齢が50歳を超えている。生き残れるのは強い者ではなく、変化して対応できる者だけだという進化論の法則がここでも成り立ちそうだ。