9月8日(火)

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 朝一番で、中山宏一さんが整調・整音したピアノの試弾に行く。ピアノはU30A。コンディションは非常によく、外見もアクションも新品同様。まず、よいピアノを買い付けたということだ。そしてそれをチューン。タッチは軽やかでありながら手応えがある。整音は、高音の伸びが足りない印象ではあったもののPowerd by Nakayamaという銘板を貼り付けてもよいくらいの出来。腕を上げたなあという印象。このピアノを手に入れる人は幸運だと思う。
 昼前に帰宅して、父の定期通院に付き添う。前回の検査の結果は良好とのこと。診察後、移動して補聴器の電池を買ったり、印章店に立ち寄ったりして父の用事を済ませた。昼を過ぎていたので、今日は蕎麦が食べたいという。父が、あと何回食事を楽しめるのか予想がつかないが、大急ぎで最善の蕎麦屋を考える。急に閃いて今日は急中仙道沿いの老舗を選ぶ。もう10年くらい行っていない店だ。
 駐車場に到着して少々戸惑う。なぜなら来店しているクルマがクラウン2台、レクサス1台、マークX1台、BMW1台だった。怖い人たちが集まっているのか、あるいは超高級店になってしまったか。高級車に挟まれて通称“ユードラ”が停まる。店内に入ると、それぞれ別々に来店した熟年夫婦やハイソなマダム2〜3人で、テーブルがかなり埋まっていた。なるほどという感じ。眼鏡、腕時計、靴を見れば、その人がどんな暮らしをしているかが分かると言うものだ。
 蕎麦とは思えないような値段のメニューもあるが、我々は手ごろな「とろろせいろ」を注文。
「この蕎麦は、うまいねえ」
 蕎麦好きな父が言う。彼は蕎麦には一言ある人だ。私だってあるけれど、私が通うのはグルメガイドには決して載らないドライブインのような店だ。
 午後からレッスン。
 ピアノの試弾中におちゃめさんから、前回のウラノメトリア編集会議の時の新曲のデュナーミクに対する意見がメールで届いた。ちょうど同じことを考えていたので、レッスンの合間に問題部分を修正。しかし、彼女には別の曲の楽譜を送る。大幅な書き直しをしたからだ。
 アイディアをまとめるためには、自分自身がそのアイディア以上の器を持たなければならない。楽譜をかくたびに、まだまだ足りないものを自覚させられる。なにより学びが足りない。もちろんまだ誰も言葉にしていない事実からの学びだ。