3月8日(月)

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 今日の夜は、東邦音大クラリネットアンサンブルの演奏会。
 伊奈学園総合高校(芸術学系音楽)に合格して、チカちゃん(大2)の中・高ともに後輩となったユリちゃんと一緒にさいたま芸術劇場まで出向く。
 最初の「黒いオルフェ」(カルテット)から、早々にヤラれてしまった。クラリネット属の魅力全開の編曲の力と、暗譜による立ち位置を変えながら吹くという演出が噛み合って得難い体験と感じさせる演奏。
 2曲目はダマーズの「カルテット」。この曲は初めて聴いた。ダマーズにしては少々メロディーが足りない気もしたが、アンサンブルとして見ると佳作。しかし、黒いオルフェの強烈な印象のすぐ後には向かない曲かも知れない。
 3曲目はガイ・ウールフェンデン(1937- )というイギリスの作曲家による「クラリネット クワイアーのための3つの舞曲」。3本のクラリネットを軸にEs、アルト、バス、コントラルト、コントラバスが加わった編成。豊かな響きがクラリネット属の特徴をよく表している。フルート属の低音楽器は音が細くなっていくが、クラリネット属は逆に太く響くので、クワイアとなると、この特徴が有利に働く。
 4曲目はフォーレの「ドリー組曲」のトランスクリプション。馴染みの曲なので楽しく聴けたが、ピアノ版よりも印象は弱くなってしまっていた。
 5曲目は第1部の最後で、ピアソラのオペラ「マリア」から「フーガと神秘」。編成は4本のクラリネットに、Es、バセットホルン、バス、コントラルト、コントラバスピアソラの力は凄い。タンゴのメロディーとリズムがつづら折りのように連なって見事なフーガとなっている。気迫に満ちた演奏も相まって聴きごたえがあった。
 休憩を挟んで、後半はチャイコフスキーの「“くるみ割り人形組曲」。今日の圧巻。チャイコフスキーがなぜ大作曲家なのかをあらためて思い知らされた。同属楽器による演奏が、オーケストラよりもむしろメロディーの重層構造を浮き彫りにしていく。著名なクラリネット奏者である磯部周平氏の指揮は、奏者たちに名人芸を要求するが、総勢23名は、よく応えていた。「中国の踊り」の主題の最高音が詰まってしまった時にはドキッとしたが、それ以外は事故もなく、およそ2時間を全く飽きることなく聴いてしまった。
 水曜日には同じく東邦音大のサクソフォーン・アンサンブルの演奏会が川口リリアで行われる。今日、私以上にヤラれてしまったユリちゃんは「行きたい!」と言っていた。