3月21日(日)ウィハン弦楽四重奏団+大導寺錬太郎
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今日は春分。地球が春分点を通過した瞬間は02時32分(太陽黄経0゚、東京日の出:05時44分、日没:17時53分)。
今日も強風が吹き荒れた。アメダスさいたま市観測点では日最大風速が16m/sを記録して、観測史上第1位を更新した。
昨日からずっと、タイトル未定のペダルエチュードを書いていて、それを今日書き終えた。
普通はペダルエチュードと言えば、どこで踏んでどこで離すかという練習を指すが、ウラノメトリアでは、ペダルの指示、あるいは指を離さざるを得ない保持音がある時にはどのような打鍵をすべきかという練習曲になる。もし、長いスパンでペダルの踏みかえをする曲ならば、余計な残響を残さないような弾き方をすべきだろう。
しかし、そんなことよりももっと重要なことは、それが弾きたい曲であるかどうかだ。曲を書き上げた時はいつもそうだが今回も傑作の予感。
夕方からは有楽町の王子ホールまで、ウィハン弦楽四重奏団の演奏会に行った。共演は大導寺錬太郎さん。ホールは、満員ではないもののほぼ埋まっている状態。コンサート不況の中では健闘している。
今日集まった作曲工房関係者は5人。
ウィハン弦楽四重奏団を聴くのは初めて。そもそも、知らないカルテットだった。彼らがステージに登場すると体格のよさにびっくり。ヴィオラ奏者が一番身長が高かったが、持っているヴィオラがヴァイオリンに見えたほど。
最初はメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第1番 変ホ長調 作品12。最初の音が出た瞬間、このカルテットが優れたアンサンブルであることを直感した。まるで8本の腕を持つ一人の人間が演奏しているかのような一体感だ。昨夜の就寝が午前5時(つまりほぼ徹夜状態)だったので今日は寝てしまうかと思ったが、逆に目が冴えたほど。
あっという間に1曲目が終わって、入れ替わりに大導寺さんが登場。
1曲目はリストの「ラ・カンパネラ」。彼の演奏では何回も聴いている“安心の老舗の味”的レパートリーのはずだったが、今日は少し違った。集中力を欠いたような演奏で、時おりデッドノートが混じる状態だった。ドキドキヒヤヒヤしながら聴き終えると、2曲目はリストの「愛の夢第3番」。少し落ち着いてきた感じ。3曲目はスクリャービンの「12の練習曲 作品8」より第8番。これは安心して聴けた。ソロの最後はショパン「エチュード作品10-12 “革命”」。少しテンポを速くとりすぎたのか、せわしない印象になってしまった。今日の大導寺さんは、少々調子が悪かった。
休憩後はいよいよドヴォルザークの「ピアノ五重奏曲第2番 イ長調 作品81」。ウィハン弦楽四重奏団の濃密なアンサンブルに、大導寺さんもすっかり溶け込んで見事な演奏となった。
演奏を終えて、初めて第2ヴァイオリンの奏者が笑顔を見せた。アンコールはシューマンの「ピアノ五重奏曲 変ホ長調」から第3楽章。これが今日一番の演奏だったかも知れない。
弦楽器の美しさを再認識させられた夜だった。