4月10日(土)

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 ポーランド大統領搭乗機が着陸に失敗して墜落、全員死亡というニュースがあった。ポーランド国民は心痛のこととお察しする。
 日常の食事でさえ食べ物を喉に詰まらせれば死んでしまうこともあるのだから、人はいつでも命がけで生きているということだ。本当に1日1日を大切に生きなくてはならないと感じる毎日。

 絵里子さんの新曲「Aretta」と「Sonata on DEAC 3rd movment」が「音の絵日記」にアップロードされたので、ぜひ訪問していただきたい。トップページ下方にそれぞれの曲のアイコンがあるのでクリックすれば聴くことができる。
 彼女は以前はスタジオを借りて1000万円以上するカワイのフルコン・トップモデルで録音していたのだけれど、今は自宅録音。なぜならピアノの調律と整音が中山宏一氏に変わったからだ。作曲工房関係の多くの皆さんは京都の森田ピアノ工房の、なんとも超越した整調・整音技術のお世話になっているのだけれど、いつも関東までおいでいただくわけにもいかない。だから森田裕之さん、歩さん父子の薫陶を受けた中山宏一さんにもお願いする。しかし、中山さんは決して森田さんの代わりではない。彼にも当然中山サウンドがあり、そのひとつの例が絵里子さんのピアノ。作曲工房以外の方々にはどのように聴こえるだろうか。
 優れたピアノ技術者を3人も知己に持つ音楽人生は幸せそのものだ。私の作曲活動はこういう人たちに支えられていると言っても過言ではない。
 Sonata on DEACは、ソナタ形式のレッスンの実習課題。動機(モチーフ)は絵里子さんと2人でクジ引きで無作為に音を選んで決めた。ハイドンの時代のソナタ形式は概ね時系列構造しか定義されていなかったが、モーツァルトは部分動機による統一が導入されている。それを明確にしたのがベートーヴェンで、さらに部分動機作法を超えて全楽章に巧妙なしかけを施した。それを「細胞音形」として読み解くことに成功したのがルードルフ・レティ。20世紀前半のことだった。
 ラヴェルラフマニノフも独自にベートーヴェンソナタ形式の解明に成功しており、彼らの作品にもその成果が現れている。ラヴェル弦楽四重奏曲などは、作曲を志す者は徹底的な楽式解析を試みるべきだろう。
 というようなレッスンをしたら絵里子さんが持ってきたのがこのソナタだ。私はソナタ形式のレッスンでは、同じモチーフで曲を書いて「模範解答」とするのだが、今回は逆に模範解答を提示されてしまった。私も途中までソナタを書き上げていたのだが、みっともなくて、とても見せるわけにはいかなかった。
 絵里子さんが、上海での生活が落ち着いたら書くはずの第2楽章が楽しみでならない。

音の絵日記URL
http://otonoenikki.com/