4月18日(日)スプリングコンサート(プラザノース)

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 今日は午後から作曲工房の坂本景子先生のお弟子さんたちの発表会。もうひとりのピアノの先生(若林直子さん)との合同発表会。
 おちゃめさんと千賀子先生が「アカラパン」号で迎えに来てくださった。
 数分遅れで到着したので最初に聴いたのがプログラム4番の小さなピアニスト、ニイナちゃん。最初から度肝を抜かれるようなクレメンティソナチネ9番第1楽章。youtubeにアップされている小林愛実さんの年少さん時代の動画を小学校1年生が弾いているという印象(ニイナちゃんは18日前に2年生になっているけれど)。ニイナちゃんは、すでにピアニスト。(過去の音楽コラムで「ピアニストは、いつからピアニストなのか」という問題に触れている)
 続く友紀ちゃん(いや、もう年齢にかかわらず友紀さんと呼ぶべきだ)の曲は「エオリアン・ハープ(ギロック)」。ペリオーデに沿った自然なアゴーギクで、実年齢よりも上の演奏。大人になってもこれだけのテンポ設計をできない人はいくらでもいることだろう。
 そしてプログラム7番の歌乃さん。エルネスト・ブロッホ(1880-1959)の「ドリーム」。坂本先生はいったい、どのようなセンスでこのような素敵な曲を選び出してくるのだろうか。加えて、彼女の天国的とも言える演奏に、近くの席にいた“ちびまゆママ”も絶賛。ブロッホの「コンチェルト・グロッソ(第1番)」は、昨年の夜の不定期便で動画を紹介したこともあるが、地味ながら素晴らしい作曲家。もっと知られてよい存在だ。
 そしていよいよ優花さんと坂本先生の連弾によるウラノメトリア3γ(ガンマ)から第4番「物語」。これが初演となる。期待して聴くのは失礼と思いながらも「かなりの期待と思い入れ」で耳がダンボになってしまった。しかし、それでもなお、私の想像力を超えた演奏にびっくり。そうか、こんなにいい曲だったのか、などと一人感激。私のレッスン室でも、いま練習中の“あかね”ちゃんが絶賛してくれている曲だけれど、レッスン内容を少し変更しなければと思うほどの解釈だった。(注:あかねちゃんは第1番「オレンジの畑で」を弾いている時には「今までで一番いい曲!」と言ってくれて、第2番「ピクニック」になると「やっぱりこっちが一番いい曲」・・、第3番「処女航海」も同様に「一番」・・・となり、現在第4番「やっぱりこっちのほうが・・」。なんていい子なんだ)
 演奏を終えてから優花さんが挨拶にきてくれたのだが、礼儀正しさにこちらが背筋をピッと伸ばしてしまった。
「素敵な曲を演奏させていただきありがとうございました」
「ど、どういたしまして(どきまぎ)」(子どもにドギマギしてどうする、とむりん)
 この子も坂本先生に“育てられた”のだろう。優花さんは、プログラム29番でショパンのワルツ変ホ長調作品18を、まるでアマチュアっぽいところのない解釈で演奏してみせてくれた。
 
 休憩を挟んで第2部。プログラム18番に再びニイナちゃん。ギロックの連弾曲「歩道のカフェテラス」。坂本先生のセコンドに乗れば、ニイナちゃんもお姉さんのよう。
 プログラム20番は第1部で「エオリアン・ハープ」を弾いた友紀さん。平吉毅州作曲「月明かりに踊るのはだれ」。22番は歌乃さんでストラヴィンスキーナポリターナ」。どれも選曲が絶妙。子どもたちの技術と音楽性にぴたりと合っていて、のびのびと弾いている。
 プログラム25番の奈緒ちゃんは、今日の最年少か? トンプソン(メソード)の「マクドナルドじいさん」と「ザ・ダンシング・ベア」。レッスンを初めて数ヶ月というところだろうか。たどたどしいながらも堂々と弾いた。
 そして、プログラム26番は、今日集まった作曲工房の“うるさがた”一同の間で話題が沸騰した悠太郎くん(学年不明、小学校中学年くらい)。曲はマティアス・シャイバー(1905-1960;ハンガリー)「バシキール民謡」。混合拍子の変拍子という複雑なビートを、粗削りながら、なんの不自然さもなくガンガン弾いていった。演奏はまだまだ未熟な印象がぬぐえないものの「来年、このコンサートで最も聴きたいピアニスト賞」を見事受賞した。私も同感。
 マティアス・シャイバー(あるいはマティアス・セイバー。ハンガリー読みではシェイベル・マーチャーシュ)などという作曲家を坂本先生はどこから探してくるのだろうか? ハンガリー読みでなければウィキペディアには引っかかってこない。コダーイに学んだ作曲家で、不慮の事故死を遂げたとある。私もまだまだ勉強が足りない。

 そして、講師演奏として私の「4手のためのピアノソナタ(2004)」の第2、第1楽章が、この順序で演奏された。プリモが若林先生、セコンドが坂本先生。
 後で“ちびまゆママ”が「第2楽章ってこんなにいい曲だったんですね」としみじみ。でも、しみじみしたのは私も同じだった。今日の演奏を聴かせていただいたお陰で、この曲の2台ピアノ版は、もっといい曲になることだろう。若林先生と坂本先生に感謝。
 「物語」は、初演してくださった優花さんと坂本先生に、慎んで正式に献呈させていただくつもり。ウラノメトリア3γの2刷以降の楽譜には曲頭に献辞が入ることになる。
 

ウラノメトリア・ブログに3β「ガヴォット(1995)」「カンツォーン(1976)」を追加。

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