6月27日(日)

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 私の音楽的なスタンスに共感してくださった方が、それを伝えたくてHPを紹介してくださるのだけれど、作曲工房HPからそれを見つけ出すのはとても難しい。ということにようやく気づいた。母の具合が悪くなってから音楽コラムのアップロードも止まっているし(音楽コラムは書き続けているにもかかわらず)、このサイトから私がバッハ研究を行なっているなどということを読み取ることはまず不可能だろう。
 ひとつには、音楽を構成する要素の多く(本当に多く)がクオリアであり、1対1のレッスンでなければ伝わりにくいと考えていることが最大の理由かも知れない。
 一例を挙げると「音楽が分かるとはどういうことか?」という土肥先生の問いは、彼と過ごしたレッスンの日々からしか伝わり得なかったと確信している。「音楽が分かるということがどういうことか」分からないうちは、音楽の勉強すらできないことを理解していただけることだろう。そもそも「ピアノの練習」とは何を指すのか? 音楽抜きの練習なら誰でもすぐに始められるけれど、音楽理解を目指す練習を説明するとしたらどうだろう。少なからぬ人が答えに詰まるに違いない。
 というわけで、みなさん、誰かに作曲工房を紹介してくださる時にはHPではなく、何かを学んだと感じた「音楽コラム」をプリントアウトして手渡すか、ウラノメトリアをお使いいただきたいと思います。

 で、今日は治代先生の新居とレッスン室へお邪魔してきた。東武東上線某駅から歩いて7〜8分。北戸田駅と作曲工房の距離くらい。
 作曲工房のレッスン室よりも一回り広い部屋にC5が1台。ダイキンのデシカント式のルームドライヤーとエアコンで温湿度を一定に保つ方式。設計・施工を担当した工務店の社長さんも同席していただいて、音場作りの打ち合わせをした。
 建物全体の気密試験結果(C値)は0.4。窓の熱還流率(K値)は木製サッシ3層ガラス相当ということで1.4(ちょっと記憶があいまい)。計測はしていないけれど、防音性能は優にマイナス40db以上はあるという印象。性能的には申し分ない。羨ましいくらいだ。この部屋を育てていったらかなり素晴らしい音楽環境を手に入れることができることだろう。
 音場は、吸音材を施工していない段階なので残響が多すぎてとても実用には耐えない状況。吸音天井にして音を聴いてみることになった。作曲工房のレッスン室は音場作りのひとつの解答となっていると思うのだが、何年通っていただいても「音場を聴き取ろうとしなければ聴こえない」のかも知れない。
 ピアノ室の湿度コントロールも、気づこうとしなければとても難しいもののひとつだろう。「エアコン(暖房時も下げるけれども、ここでは冷房時)は湿度を下げる」ということは間違いではないが、エアコンは湿度調節はしてくれない。理由は簡単で、エアコンは温度センサーで運転をコントロールしているからだ。エアコンのリモコンに温度の指定はあっても、湿度の指定はないことだろう。だから、湿度を一定に保ちたければ除湿機が必須となる。それも高湿期には24時間連続運転しないと意味がない。それどころか、温度が下がった金属部品は湿度の高い空気に触れた途端結露するのでピアノに悪いことこの上ない。
 人は温度に関しては非常に敏感なのだが、湿度には鈍感で、相対湿度40パーセントから70パーセントくらいの広い領域で快適と感じてしまったりする。ピアノ室は最低でも湿度50-60パーセントの範囲に収めたい。作曲工房では、全館空調の気調システム(冷暖房機能あり)から供給される空気と、人の増減による温湿度への影響を吸収するための専用エアコン1基(20帖用の大型機を最弱運転)、2台の除湿機(冬期には加湿器)でほぼ55パーセントを保っている。ピアノをよい状態に保つには不断の努力が必要。
 ところで、社長さんがクラシック音楽に理解のある方で、自ら主催者として7月下旬に「アンサンブル Wiener Blut(ウィーン気質)」というコンサートを開かれるということ。詳しい情報が分かり次第、ここでお伝えします。