7月15日(木)

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 今日はウラノメトリア編集会議。
 この一週間の超人的(大げさ過ぎ!)な働きが効を奏して、ウラノメトリア3βが8割方でき上がった。4ページだけ余裕があるので、新曲を1曲書くことになるかも知れない。3αの「初めてのピアノソナタ」を第1楽章と考えて、第3楽章に相当するロンド楽章のような曲を書くというのは良いアイディアだと思うがどうか。4α、あるいは4βにアダージョ楽章を収録すれば古典ソナタが完成する。
 
 朝の定期便に書いた、ウラノメトリアの構成に関する説明の補足。
 ウラノメトリアはナンバーシリーズ(第1巻から第6巻)で考えることも、アルファベット(ギリシャ文字)シリーズで考えることもできる。
 音楽的正統にこだわるならば、アルファシリーズを使って過去の大作曲家たちへの理解を深め、無理なくショパンエチュードへ進む道をたどればよいだろう(アルファシリーズは、未完に終わってしまったショパン著「ピアノ奏法」の完成を目指しています)。
 すでに揺るぎないメソードを持っている場合には、ベータ、あるいはガンマシリーズを揃えて新たなレパートリーを獲得できるはず。
 上記の3つのシリーズ以上に重要になるかも知れないのがデルタ、エプシロンシリーズ。
 少なからぬ音楽書、理論書、研究書が「なんでもかんでも書いてしまう」傾向にあるのは問題だ。優れた情報は、内容が徹頭徹尾精選されて無駄がないことが条件だ。極端な例を挙げるならば、世界中の全ての交響曲を集めた楽譜1000冊を渡されるのと、選び抜かれた10冊を渡されるのはどちらが良いだろうか。あるいは、平均律クラヴィア曲集の校訂版に必要なのは、楽式としての主唱・応唱・対唱の分析だろうか、それともアーティキュレーションとアクセントの位置(実際の拍子)だろうか。
 本当に重要な情報だけを集めると真実が見えてくるのに、精選されていない情報が混ざるとたちまち霧の中に突っ込んでしまう。書物を読んで難しいと感じたら、多くの場合、付加された不適切な情報によって思考が混乱することがその理由だろう。ウラノメトリアのデルタ、エプシロンシリーズでは、過去の大作曲家、とくにバッハ作品の校訂版を通して音楽理論理解への道を開きたいと考えている。

 念のために、定期便に記したウラノメトリアの構成解説をコピペ。

ウラノメトリアのα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、ε(エプシロン)各シリーズの内容です。
α:メソード。指導者の自己流や思い込み、勘違いを学んでしまうことがないように、正統なピアノテクニックを習得するための主たるシリーズで、全巻に存在します。
β:曲集。ステージにおける新しいスタンダードを目指して、ある意味、もっとも入れ込んでいるシリーズです。ほぼ全巻に渡ってまとめる予定です。
γ:連弾、あるいは2台ピアノの曲集。第3巻、第5巻に予定しています。
δ:和声学、対位法、楽式論などの音楽理論書。何でも書いてある教科書的なものではなく、雑多な情報を可能なかぎり削り取り、演奏にあたって本当に知らなければならない情報が何であるのか分かるような内容を考えています。第5巻以降に予定(まだ生きていたら)。
ε:まだ未定ですが、全旋法や作曲家ごとに異なるスラーの意味、時代ごとの発想標語の変遷など、読んでみると「実はこれこそ知りたいことだった」というような資料集のようなものを考えています。こちらも第5巻以降に予定(同じく、まだ生きていたら)。