4月16日(土)

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 東京電力の福島第1原子力発電所の深刻な事故を受け、政府の原子力安全委員会の歴代委員長を含む原発推進派学者の重鎮たちが「国民に深く陳謝する」という声明を出したという記事があった。
 間違いや思い違いは誰にでもあり(生まれた時は一人残らず、本当のことなど何も知らないのだから)、徐々に思い違いをなくしていくことが “学び” なのだから、事実を認識するというのは正しい。できればこのような事故を起こす前に気づいて欲しかったけれど、彼らが暮らした環境ではそれは望めないことだったのだろう。
 少しショックだったのは、その彼らが、今回の福島原発事故を終息されるのは非常に困難だと感じていることだろう。だからこそ、陳謝する気持ちになったのだと思うが、やはりそうだったのかと思うと残念でならない。
 いまだに「自動車や石油火力は原子力よりも危険である」と堂々とコラムに書いている経済学者の方もいて、それはそれで自説を曲げないという気骨を感じさせるものの、信用する気にはなれない。
 NHKラジオ第一に「ラジオ朝一番」という朝5時から8時までの番組があって、その中野「ビジネス展望」(ラジオ体操の後あたり)というコーナーが充実していて素晴らしい。特に内橋克人さんのお話は毎回目からウロコというものばかり。朝早いので毎回聞けるわけではないのだけれど、枕元にはいつもラジオが置いてあるので聞ける時には聞き、聞けない時にはポッドキャストで後日聞いている。以下のURLで聴取方法が分かる。

ビジネス展望ポッドキャストURL

 4月12日は、アメリカのサクラメント電力公社が住民投票によって原発の停止を決め、再生可能エネルギーで再生したという話題だった。詳細はポッドキャストで聞いていただくとして、今から22年前(1989年)にエネルギー転換を果たして成功しているという内容。
 毎日新聞社のネットニュースにも、米シンクタンクが「原子力再生可能エネルギーの発電容量が逆転した」と報じたという記事があった。つまり、すでに原子力はトレンドではなくなったということだろう。
 その記事を読んで、原子力を推進する人は、ひょっとしたら高齢の方が多いのかも知れないと思った。つまり、意思決定権を持つ高い地位にいる年長者には、若い時の発想しか出てこないのではないかという懸念である。
 大学の核物理学学科(いや、原子力工学科だったかも)も長きにわたって進学希望者が少なく、このままでは将来の原子力技術者が育たないという記事を読んだのは、もう10年くらい前ではなかっただろうか。
 つまり、原子力はすでに斜陽産業なのだ。誰が旗を振ろうと人気がなくなれば先細りになるばかりだ。
 誰かが原子力反対を叫ぶと、必ずといってよいほど「今の生活を維持したければ原子力は必要だ」という反対意見が書き込まれるが、原子力発電の技術者そのものが育っていないのならば、必要であっても維持できない。

厳しい内容ばかりだけれど、福島原発関連の記事を4本。

人類史上、初めての体験 溶け出した福島第一原発「第3の恐怖」
想定される「最悪の事態」とはどんな事態なのか
「そこは“死の灰”が降る戦場だった」
こんな「被曝食品」調査を信用していいのか