5月9日(月)

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 「ウラノメトリアこども2α」の刊行後、ファゴットソナタの基となる、通称「夜の組曲」を研究している。自分の曲を研究するというのも妙な話だが、作曲後10年が経過したら自分の曲とは言えなくなっている。
 いつのまにか視点は移ろい、発想は異なり、音楽語法そのものも変化している。
 この曲が「フルートソナタ(2007)」の発想の原点になったということは分かるが、一部を除けば全くの別物と言えるだろう。今度は違う。なるべくそっくりに書く。しかし、そっくりではない。もし、作曲時期が10年遅かったらどうなっていたか、というような曲になる。
 昨日書き上げた第1楽章の「夜の幸いならんために」は、そのようになったと思う。しかし、第5楽章の「彼女は吠え、私たちは戯れる」の発想は今の私からすでに失われており、何回も聴き直すうちに、この“感じ”を超えるのは無理なのではないかと少々怖じ気づいてしまった。今のほうが能力が下がったとは思わないが、人にはインスピレーションに恵まれる瞬間というものがあるのだ。そんな機会が、たまたま10年前にあった、と今日しみじみ感じた。
 レッスンと家事以外の時間を、ずっと「夜の組曲」を聴いて過ごした。第3楽章「月の滴」は、ピアノだけの楽章にしてしまおうかとも考えた。第4楽章の「水の上にて歌える」はフルートを加えてしまおうかと思ったが、ピアノ譜を3段にして一声部を加えて、なんとかファゴットソナタに収めることにした。
 世界中の、そして21世紀以後の全てのファゴット奏者が一生に一度ならず演奏する曲に育ったら最高だ。フルートソナタも、小さなピアノ曲も全てそのような志で書いているつもりだが、自分では確かめようがな。

 
 中部電力が、ついに浜岡原発全原子炉の停止を決断した。素晴らしいできごとだ。停止までには、まだ日数があるので、その間に東海地震が起こらないことを祈るばかりだ。
 関東各地の環境放射能を視覚化した、素晴らしいサイト。観測値がそのまま反映されるので、ぜひブックマークして毎日チェックしていただきたい。少なくとも今夜の東京・千葉・埼玉・神奈川の放射能は世界平均よりも低い。

関東各地の環境放射能水準の可視化