1月3日(火)

234606

 昨夜は眠りそびれて、明け方5時30分に就寝。
 あっという間に朝が来て、3時間眠っただけで起床。カミさんとの約束どおり山種美術館へ。
 山種美術館では、開館45周年を記念して「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」という特別展を年末に「前期」、新年に「後期」と分けて開催。後期コレクションは「戦前から戦後へ」というタイトルで、油彩9点、日本画39点が展示されていた。
 山種コレクションのクオリティーの高さは想像以上で、今日の展示は一点残らず素晴らしい作品ばかりだった。
 小林古径の生涯ただ一点の油彩画である「静物」は静謐な美に満ちた作品。黒田清輝の「湘南の海水浴」も図録ではよく分からない絵だが、実物は美しい。なかでも和田英作の「黄衣の少女」は、予想できなかった作品。和田英作でよく知られているのは、歴史の教科書に載っている「憲法発布式」(正徳絵画館収蔵)という大作だが、それは教育的な目的で取り上げられているだけで美術的な価値を第一義に選ばれたものではないことがよく分かった。これも図録ではまるで魅力のない絵だが、実物は繊細で描かれたばかりのような新鮮なものだった。佐伯祐三の「クラマール」という絵も初めて見たが、彼の傑作の一枚ではないだろうか。
 一枚ずつコメントしていくと、また朝が来てしまいそうなので以後は特に心に残ったものをピックアップ。
 奥村土牛(おくむら・とぎゅう)は「城」、「鳴門」、「醍醐」の3点。全て傑作。奥村土牛でこんなに感動したのは初めて。カミさんは醍醐を見て涙目になっていた。
「絵を見て涙が出たのは初めて」と言っていた。でも本当だと思う。別の絵だったが、私の前で一人で絵に目を向けた老婦人が驚いたかのように震えたことに気づいて、彼女の感動が伝わってきた。私は神々しい思いで彼女の後ろ姿を見ていた。芸術の力の凄さを感じた一瞬だった。
 私も、もっともっと力をつけて感動させる側に回りたいものだ。
 書き忘れたが「鳴門」も素晴らしい。もし私にルパン3世のような才能があったら、自宅で鑑賞することを画策してしまうことだろう。川端龍子も「鳴門」という屏風の大作を描いており、それも見事だったけれど、土牛が一枚上手だった。
 福田平八郎の「牡丹」、「筍」、「花菖蒲」の3点も傑作。
 また一枚一枚コメントしはじめてしまった。これでは終わらない。東京周辺の人以外には酷な話だけれど、絵を見るというのはクオリア体験なので、ぜひご覧になっていただきたい。速水御舟の「炎舞」を含む多数のコレクションも全て素晴らしかったことを付け加えておかなければならない。

 新年ということもあり、館内のカフェでは来館者全員に無料で甘酒をふるまってくれた(テーブルに着席して有料でスイーツをオーダーする客と何の差別もなく)。それが実に美味しかった。

 その後、新年の食べ過ぎを是正するために根津美術館の脇を通って岡本太郎記念館(どちらも新年休館中)を横目で見て(巨大な「太陽の子」は外からでもよく見える)、青山霊園を抜けて、六本木ミッドタウン、アークヒルズ、永田町、国会議事堂前を歩いて、靖国神社へ参拝。初めて行ったけれど予想よりもずっと大きくて立派。たくさんの人で賑わっていた。
 今日は200枚近くの写真を撮ったけれど、アップする時間がない。歩数計は20000歩を超え、余分な脂肪が少しは落ちたことだろう。


脱原発後の電力未来図。
 
特集:スマートシティー(その1)