3月19日(月)坂本麻由里展

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 今日は銀座のギャラリー・フォレストで始まった「坂本麻由里展」に、80歳になる叔父を誘って出かけた。
 誘ったのは父方の叔父で俳人。幼かった私に美術と音楽への興味を持たせてくれた恩人でもある。
 赤羽駅での待ち合わせのために乗った埼京線でいきなりこんな風景に出会った。

 このワンちゃんは飼い主から「静かにしててね」と言われると、一度も鳴き声を出すことなくずっと良い子だった。躾は大事だ。

 そして到着した銀座1丁目の奥野ビル。あまりのレトロさにアート満開のビル。昭和7年ころの竣工らしい。写真はギャラリー・フォレストのある5階の廊下。住めるものなら住んでみたいような佇まい。ただし、耐震性はなさそう。


 ギャラリー・フォレストは一部屋だけのこぢんまりした画廊で、M100号の大作を飾ると壁の一面を使いきってしまう。その大作は夕焼けをバックに川の土手を行き交う人々を描いた幻想的な世界。夕焼けをバックにしても草をシルエットにはせずに、ストロボ撮影したかのような画面で、その一面の草がところどころ3Dのように見える描き方をしていて不思議な印象。
 個展の案内状にあった「くれかた」という絵は、実物は数段明るくクリアな画面。対をなす明け方を描いた絵も秀逸。叔父はその作品を一押ししていた。古い灯台を描いた作品も、少し歪んで描かれた世界が魅惑的だった。尾道の町を描いた絵も、微妙に食い違うパースが “灯台” と共通する雰囲気を醸し出していた。
 今日思ったことは、描いた本人が自作品の(他の画家にはない)隠れた魅力に気づいていないのかもしれないということ。彼女の独自な世界をもっと全面に押し出せば、一気に理解者が増えると感じた。
 最も大切なことは、その画家の初めて見る作品でも「あ、この画家知ってる!」と鑑賞者に思わせる魅力を創り上げ、全ての作品に盛り込むことだ。それは作曲でも小説でも同じ。それができそうな気がする作品ばかりだったので、ぜひとも頑張って欲しい。

 今日、ワンちゃんと同じくらいの偶然な出会いが、奥野ビルのオールドファンションドなエレベータ。外扉も内扉も手動で開け閉めする。日本橋三越のスケルトンタイプエレベータも敵わないレトロさに興奮。このエレベータで、もっと有名になっても不思議はないスポットだ。ドア左側に貼られた注意書きを読まないと乗れない。


 ランチは、“銀座の老舗” を感じさせるイタリアン・レストランで叔父に「カラスミのスパゲティ」(初めて食べた)をご馳走になった。写真は前菜のサラダ。


 帰宅後、カミさんとモリアキ翁と一緒に母の墓苑に行って掃除と墓参。墓石をきれいに洗って花を供えた。写真は、寒風吹きすさぶ中を颯爽と歩くモリアキ翁(93歳)。明日の朝は0度という予想だ。